小規模事業者持続化補助金は、書面審査と政策加点審査の2つの項目で加点審査が行われます。 

加点審査とは、何か加算する要素があればあるだけ評価が上がる審査方法です。 

そのため、加算する要素を一つでも多く取り入れることが、審査を有利に進めることに繋がります。 

書面審査は必須の審査として設定されています。そのため、書面審査で審査される経営計画書や補助事業計画書を作成する場合は、審査項目の要素を取り入れ、明確で説得力のある書類を作成する必要があります。 

ここでは、任意ではありますが、申請した場合に申請できた数だけ高い評価が得られる政策加点審査についてお話します。 

なお、小規模事業者持続化補助金の採択審査には「基礎審査」「書面審査」「政策加点審査」の3項目があります。 

 

・政策加点審査とは? 

 

国の政策に沿う取組を行う事業者に対して審査で加点を付与するものであり、政策加点項目は、加点の条件となる項目です。  

審査は、公募要領に示される「審査の観点」に沿って加点方式で行われます。 

政策加点項目に取り組み、加点の付与を希望することにより、点数がプラスされ、採択が高まる可能性があります。  

【重点政策加点】、【政策加点】からそれぞれ1種類、 合計2種類まで選択することができます。 

 ※【重点政策加点】、【政策加点】から2種類以上を選択された場合には、加点審査の対象となりませ んので、お間違えのないようご注意ください。    

 

【重点政策加点】 

< 赤字賃上げ加点 > 

赤字賃上げ加点は、「賃金引上げ枠」を申請する事業者のうち、業績が赤字の事業者に対する要件に該当する事業者に対して、政策加点による優先採択を行います。 

 

< 事業環境変化加点 > 

事業環境変化加点は、ウクライナ情勢や原油価格、LPガス価格等の高騰による影響を受けている事業者に加点を行います。「経営計画書」に、事業環境変化により影響を受けている内容の記載が必要です。 

 

< 東日本大震災加点 > 

 東京電力福島第一原子力発電所による影響を受け、現在も厳しい事業環境にある事業者に対して加点を行います。避難指示等の対象となった福島県12市町村に所在する事業者、または、新たな販路開拓等に取り組む太平洋沿岸部に所在する水産仲買業者及び水産加工業者が対象です。後者は、申請時に「食品衛生法に基づく営業許可証もしくは届出書(受領印押印済み)」の提出が必要です。 

 

<くるみん・えるぼし加点> 

次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく「くるみん認定」を受けている事業者、もしくは女 性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく「えるぼし認定」を受 けている事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点(=くるみん・えるぼし加点)を行いま す。 

 

【政策加点】 

<パワーアップ型加点> 

「地域資源型」と「地域コミュニティ型」の2種類があり、次の内容に沿った事業計画を策定した事業者に加点を行います。 

 ・地域資源型 

  地域資源とは、地域の特産物である農林水産品、地域の伝統工芸品、産業集積に由来した 

  鉱工業品やその技術などを意味します。これらを使って、地域外への販売や、新規事業の 

  立ち上げを行う事業者に対して、加点を行います。取り組み例は次の通りです。 

  

  地域の特産品のこんにゃくを用いたパスタの開発とECサイト販売 

  地域の文化財や自然を活用したインバウンド向けツーリズム事業の立ち上げ 

 

 ・地域コミュニティ型 

  地域コミュニティ型は、地域の課題解決や暮らしのニーズに応えるサービスにより、地域 

  の需要を新たに呼び起こす取り組みを行う事業者に対して加点を行います。地域の課題と 

  は、例えば、地域の雇用(少子高齢化対策)、空き家の増加、シャッター商店街、防災な 

  どがあげられます。取り組み例は次の通りです。 

 

  不動産業による、観光事業を行う「まちづくり事業部」の創設 

  リフォーム会社による空き家の活用や解体需要を捉えたビジネス 

 

<経営力向上計画加点> 

「経営力向上計画」の認定を受けている事業者に対して加点を行います。「経営力向上計画」は、自社の経営力を向上するために実施する計画です。各事業分野の主務大臣の認定を受けることにより、税制措置(税金の減免等)、金融支援(融資の金利優遇等)、法的支援(事業譲渡の際の特例等)を受けることができる制度です。 

各申請の締め切り毎に「経営力向上計画」の認定日の期限が定められているため、加点の対象となるためには、期限内に認定を受ける必要があります。 

 

<事業承継加点> 

代表者が満60歳以上で、かつ、申請する補助事業を後継者候補が中心になって実施する事業者に加点を行います。各申請の締め切り毎に代表者の満年齢の基準日が定められているため、基準日時点で満60歳以上である必要があります。 

 

 

< 過疎地域加点 > 

過疎地域という極めて厳しい経営環境の中で販路開拓等に取り組む事業者を重点支援する観点 から、「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」に定める過疎地域に所在し、地域経 済の持続的発展につながる取組を行う事業者に対して、採択審査時に政策的観点から加点(=過 疎地域加点)を行います。 

 

< 一般事業主行動計画策定加点 >

従業員 100 人以下の事業者で「女性の活躍推進企業データベース」に女性活躍推進法に基づく 一般事業主行動計画を公表している事業者、もしくは従業員100 人以下の事業者で「両立支援の ひろば」に次世代法に基づく一般事業主行動計画を公表している事業者に対して、採択審査時に 政策的観点から加点(=一般事業主行動計画策定加点)を行います。 重点政策加点のくるみん・えるぼし加点にも該当し選択されている場合は、重点政策加点分の み加点されますのでご注意ください。

 

 

まとめ 

基礎審査は申請要件にあたるため、要件を満たしていない場合は審査の対象外になります。 

小規模事業者持続化補助金の申請を検討している人は、基礎審査の要件を全て満たしたうえで加点審査に臨みましょう。